油入変圧器の更新について
油入変圧器の構造
油入変圧器は、工場や商業ビル、スーパーなど電気を多く使う需要家に設置されており、電力会社から供給される6600V等の電気を低い電圧へ変換するために使用されます。
一般的に広く使われる油入変圧器は、銅やアルミといった導電材料を絶縁紙で絶縁し、ケイ素鋼板等の鉄心に巻き付け、これらを絶縁油を満たしたタンクに収めた構造となっています。金属材料は比較的劣化しにくい一方で、絶縁紙等の有機材料は劣化しやすいため、油入変圧器の寿命は有機材料の劣化度合いにより決定されます。
変圧器の更新推奨時期
油入変圧器は、劣化が進行すると内部短絡や地絡事故を引き起こす可能性が高くなります。ひとたび事故が発生すると、変圧器を取り替えるまで電気が使えない状態が続くため、事故に至る前に更新することが大切です。
- 主要な変圧器の障害例
- 絶縁紙・絶縁油劣化による障害
- 絶縁破壊による内部短絡・地絡事故
- 構造物劣化による障害
- タンクからの絶縁油漏れによる環境汚染
- 絶縁紙・絶縁油劣化による障害
一般に、通常の使用環境において適切なメンテナンスを受けながら使用された変圧器は、20~30年程度使用できると考えられています。この年数を超えた変圧器は、事故の未然防止のためにも更新することを推奨しております。
なお、落雷や二次側短絡事故を経験した変圧器や、連続して高負荷状態で使用された変圧器は、寿命が大幅に短くなることがあります。この場合は変圧器の精密点検を行い、継続使用に耐えられるか確認が必要です。