小規模太陽光発電設備発電所の規制強化が行われます

10kW~49.9kWの太陽光発電設備に対する保安規制の強化
2022年6月15日に、電気事業法の改正が国会において成立しました。改正内容の中でも非常に大きな影響があるものとして、設備容量10~49.9kWの太陽光発電設備が「小規模事業用電気工作物」として位置づけられたことがあります。
従前は、10kW以上50kW未満の太陽光発電設備については、運転開始にあたって使用前自己確認等の義務は設けられていませんでしたが、小規模事業用電気工作物では以下の保安規制が新設されています。
- 技術基準適合維持義務
- 一般用電気工作物から事業用電気工作物への位置づけ変更により、設置者に対して電気工作物が技術基準に適合した状態を維持する義務を課す。
- 基礎情報の届出
- 設置者情報や設備情報、保安管理を実務的に担う者等の基礎的な情報を経産省へ届け出る。
- 使用前自己確認
- 電気工作物の使用開始前に技術基準適合性を確認し、その結果を経産省へ届け出る。
これらの改正法は、2023年(令和5年)3月中の施行が予定されています。既設の再エネ発電設備についても、技術基準適合維持義務及び基礎情報の届出は遡及適用となっており、今後対応が必要となる見通しです。
技術基準適合維持義務とは
事業用電気工作物については、その設置者に対して工作物を「電気設備技術基準」に適合するよう維持することが義務付けられています(電気事業法第39条)。これは、事業用電気工作物は規模が大きいため、万が一不具合を放置すると感電死傷事故や火災など、公共の安全を脅かす事態に発展する可能性が高いためです。
もし、漏電などの技術基準不適合状態を放置すると、経済産業省から是正するよう命令(適合命令)や行政処分を受ける可能性があります。また、300万円以下の罰金という罰則規定も設けられております。
電気設備技術基準については、「電気設備に関する技術基準を定める省令」により内容が定められています。この省令の大原則は第4条にて規定されています。
電気設備は、感電、火災その他人体に危害を及ぼし、又は物件に損傷を与えるおそれがないように施設しなければならない。
電気設備に関する技術基準を定める省令 第4条(電気設備における感電、火災等の防止)
使用前自己確認制度とは
従前は、太陽光発電設備については500kW以上2000kW未満の発電所について使用前自己確認が義務化されておりました。これは、工事が完了してから使用開始するまでの間に、当該発電所が電気設備技術基準に適合しているかを設置者自らが確認し、その結果を国へ届け出る制度です(電気事業法施行規則第76条)。
具体的な内容は、経済産業省「使用前自主検査及び使用前自己確認の方法の解釈」により規定されており、そのうち太陽光発電設備に関する項目は以下の通りとなっています。
- 外観検査
- 接地抵抗測定
- 絶縁抵抗測定
- 絶縁耐力試験
- 保護装置試験
- 遮断器関係試験
- 総合インターロック試験
- 制御電源喪失試験
- 負荷遮断試験
- 遠隔監視制御試験
- 負荷試験(出力試験)
これらの確認業務については専門的な知識が必要なため、発電所の施工業者や専門のO&M事業者(運用・保守点検事業者)へ委託することも可能になっています。