高圧ケーブル更新のおすすめ

2022年9月13日受変電設備

受変電設備へ6600Vの電気を送る高圧ケーブル

高圧ケーブル(CV、CVT)とは

高圧ケーブルとは6600Vの電気を安全に送るための電力ケーブルで、現在は絶縁体に架橋ポリエチレンを使用したCV/CVTケーブルが広く用いられています。この高圧ケーブルは、6600Vの電気が通る「内部導体」の上に架橋ポリエチレンでできた「絶縁体」を巻き付け、さらに「シールド」と呼ばれる接地導体が巻き付けられた後に「シース」というビニル絶縁体で被覆した同心円状構造となっており、たとえ人が触れても感電しないようになっています。

この高圧ケーブルは、電力会社からお客さま受電設備へ6600Vの電気を安全に送るために敷設されています。一般的には電力会社との責任分界点となるPAS・UGSから受変電設備の間を接続しており、お客さま所有設備となっております。

どうして更新しなければいけない?

高圧ケーブルは、常に6600Vの電気がかかっており、さらに屋外敷設の場合は風雨や寒暖の差に晒される厳しい環境にあります。このため、使用しているうちにだんだんと劣化してしまい、定期的に更新しないと事故に至る可能性があります。主要な劣化原因は以下の通りとなっています。

  • 電気的ストレス(過電流、短絡事故の経験、開閉サージの印加等)
  • 機械的ストレス(引っ張り、衝撃、踏みつけ、ネズミ等による食害等)
  • 化学的ストレス(有害物質を含む排気ガスへの暴露等)
  • 熱的ストレス(過負荷による発熱、環境温度の上昇等)

また、高圧ケーブルは管路に水が溜まっているなど水の影響がある場合は、「水トリー現象」という特異的な劣化を起こしやすく、さらに劣化が進みやすくなることが判明しています。詳しくは経済産業省による注意喚起を参照ください。

【注意喚起】更新推奨時期に満たない高圧ケーブルにおける水トリー現象に係る注意喚起(METI/経済産業省)
https://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/oshirase/2021/06/20210616-1.html

一般社団法人日本電線工業会では、ケーブルの耐用年数の目安を以下の通りとしています。

屋内敷設20~30年
直埋、管路、屋外ピット敷設(水の影響がある場合)10~20年

更新しないとどうなる?

高圧ケーブルは、PAS・UGSからお客さま受電設備を接続する重要な設備です。もし、ケーブル絶縁破壊などの事故が発生すると以下のような事象を引き起こすことが考えられます。

  • 長期間の停電
    • 高圧ケーブルは交換に数日程度かかる場合が一般的です。もし、ある日突然ケーブル事故が起きると、そこからケーブル交換工事が完了するまで電気は使えません。
  • 波及事故
    • 電力会社との責任分界点にはPAS・UGSといった開閉器が設置されており、通常はケーブル絶縁破壊が起きればこれらの開閉器が動作して、電力会社との接続を切り離します。しかし、これらの開閉器が故障しており切り離しに失敗した場合は、電力会社の配電線まで停電事故が波及して「波及事故」となってしまいます。
  • 火災
    • ケーブル絶縁破壊が起きると、事故点に電流が流れ込み過熱します。通常は発火する前にPAS・UGSが作動して電流が遮断されますが、もし電流遮断前に発火してしまうと火災に進展する可能性があります。

以上のような事故を防ぐためにも、ケーブルは早めの更新を推奨いたします。